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脳神経外科

体に優しい脳卒中の血管内治療
3月25日(金)読売新聞長崎県版朝刊に福岡大学筑紫病院脳神経外科 風川清教授との対談が掲載されましたのでその内容を以下に紹介します。

―寝たきりとなる最も多い原因疾患である脳卒中(脳内出血、くも膜下出血、脳梗塞)ですが、どんな病気でしょうか。加齢とともにリスクが高まりますが、若い人にとっても怖い病気ですか。

風川 脳卒中は@脳の動脈が詰まり脳組織が壊死する脳梗塞、A脳の血管が破れて起きる脳出血、B脳を覆うくも膜と脳との間にある動脈にできた瘤(こぶ)=動脈瘤が破裂して生じるくも膜下出血を主とする脳の働きに障害が発生する疾患の総称です。中高年の場合は動脈硬化による血管の障害、心臓の不整脈が原因である脳梗塞が多く発生します。脳梗塞は脳卒中の中で約7割を占め、太い動脈の動脈硬化が原因で生じる「アテローム血栓性脳梗塞」、脳内の細い動脈が詰まる「ラクナ梗塞」、不整脈などで心臓内に生じた血栓が脳内に運ばれて動脈が詰まる「心原性脳塞栓」に分けられます。以前は高血圧が関与する「ラクナ梗塞」が圧倒的に多かったのですが、最近では糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病が多くなり、太い動脈の動脈硬化が原因で生じる「アテローム血栓性脳梗塞」が多くなっています。

鬼塚 2010 年、読売巨人軍の木村拓也コーチが広島球場内でくも膜下出血に倒れて搬送されるシーンが新聞やテレビで報道されて以来、若い方の脳卒中への関心が増しました。頻度は少ないものの若年者にも発症します。心臓病、血液疾患、血管奇形などの特殊な原因があるため、診断と治療には多くの専門的な知識と経験が必要です。若くして発症し長期に渡って後遺症が残ると、患者や家族の社会生活、就業における負担は大きいものがあります。アテローム血栓性脳梗塞は、原因の一つにコレステロール等がたまって頸動脈が高度に狭くなるケースがあります。従来は頸動脈を切開して狭くなった血管の内膜を切除する手術が行われましたが、最近では大腿動脈からバルーン(風船)のついたカテーテルを挿入して細くなった個所を拡げ、再び細くなることを予防するために金属のメッシュの筒を挿入するステント治療が行われています。いずれも患者さんにとって身体的負担が少なく、高齢者や全身の合併疾患があって外科的手術のリスクの高い患者さんには有用な治療法です。

―脳卒中は長らく日本での死亡原因のトップでしたが、現在では3位になりました。脳血管内治療の進歩が大きく貢献していますが、その詳細と、脳動脈瘤塞栓術や頸動脈ステント治療の特徴について教えてください。
風川 開頭せずに行う血管内手術が発展普及しています。脳動脈瘤の手術は従来、開頭して金属のクリップで瘤をつまんで血液を止めてきました。この方法は顕微鏡で瘤を直接見ながら行うため確実性は高いのですが、患者さんには肉体的な負担がかかります。血管内手術は、脚の付け根にある大腿動脈から細い管(マイクロカテーテル)そ挿入し、X線の透視を見ながら動脈瘤の中まで誘導し、プラチナ製のコイルを複数動脈瘤に挿入して瘤を詰めて血流を途絶させます。

―脳血管内治療が可能なのはどのような病気ですか。
鬼塚 脳動脈瘤に対するコイル塞栓術、頸動脈狭窄に対するステント治療以外で最近注目を集めているのは、脳梗塞が起こってから8時間以内に詰まった原因となる血栓を粉砕して回収し、再開通を機械的に行う方法です。点滴治療薬により急に詰まった脳の血管の血流を取り戻すt-PA静注は最低でも発症から3時間以内に治療を開始する必要があります。3時間を過ぎて8時間以内の場合、t-PA治療をしても奏功しなかった場合、何らかの原因でt-PA治療の適応外となった場合、カテーテルを使った血栓粉砕療法が2010年10月から保険適応となりました。脳梗塞の治療に対する選択肢が増えてきました。脳卒中を疑ったら、ためらわずに専門の医師を受診してください。

―最後に、脳卒中を予防する為のアドバイスをお願い致します。
風川 脳卒中の危険因子は、高血圧や糖尿病、不整脈、脂質異常症、喫煙等があり、これらの予防や治療をしっかりとすることが大事です。適切な食事量や日々の運動を心がけ、すでに高血圧等がある場合はかかりつけ医に相談し、治療をしっかりと行うことが脳卒中の発症を予防します。事前に検査・検診で自身の健康度を定期的にチェックし、元気で長生きする健康寿命を確保しましょう。